鈴木鎮一(スズキ・メソード)の奏法を研究する会

※スズキ・メソードとは直接関係ありません https://www.youtube.com/channel/UCwgEn8nYsP3QsvR0MhQC0OA

バイオリン奏法における音色と無意識の問題(1)コントロールの弊害

通常、バイオリンの運弓は、次の2つの点で繊細な「調整」をするようにトレーニングされることが多い。

(1)弦に対して直角になるように腕の伸ばす方向を弓の位置によって鏡を見ながらコントロールする

(2)雑音が出ないように繊細に弦に加える圧力を調整する。音がつぶれないように最小限の圧力で最大限の音量を出すように様々な繊細な注意を払う。

 

これらの問題は、腕の筋肉のパフォーマンスを最大限に発揮できない点にある。コントロールや繊細な注意の方に筋力が使われてしまい、運弓の主目的である発音が十分に行われない。

 

そもそも、バイオリンと弓を十分安定して保持することさえできれば、上記の2つのコントロールは不要である。そして、無意識に運弓を行うことが可能になる。このとき、弦には非常に強い力がかかり、弦と馬の毛の張力・弾力は腕にも伝わり大きく引っ張られることになる(そのため、クライスラーの言うようにバイオリンは長時間練習するべきではない)。